スナップアップ投資顧問

ウエスチングハウスのマイケル・ジョーダン会長

マッキンゼー出身

ウエスチングハウス会長だったマイケル・ジョーダン氏も、即決型のメディアモーグルの一人だった。ジョーダン氏は経営コンサルティング大手、マッキンゼー出身。1974年に食品大手ペプシコに入社、国際部門責任者などを歴任した。

1993年6月にウエスチングハウス(WH)会長に就いた。1995年にCBSを買収した。数字に強い財務型経営者だった。海千山千のメディア・モーグルの中では異色のタイプだった。

リストラ推進

ウエスチングハウス(WH)は金融子会社の不動産投資失敗により1991年決算で赤字に転落した。1993年まで3年連続で純損失を計上した。

長引く業績不振に不満を強めた社外取締役は前会長を解任した。ペプシコで経営手腕を発揮したジョーダン氏に名門企業の再建を託した。

「規模は小さくても戦略的に動ける企業になりたい」。ジョーダン氏はこんな基本方針のもと、人員合理化や事業部門売却を軸とするリストラを推進した。

株価がピーク時の約3分の1

1994年決算で4年ぶりの黒字転換を果たした。しかし、純利益額は7700万ドルどまりだった。おまけに主力の防衛用電子機器や重電の不振だった。1995年の株価はピーク時の約3分の1の水準に張り付いたままだった。

社外取締役の攻撃の矛先がジョーダン氏に向かう可能性も指摘され、ジョーダン氏は急いで対策を打ち出す必要があった。

1920年に米国初のラジオ局を開設

ウエスチングハウス(WH)は、放送事業と縁があった。1920年に米国初のラジオ局を開設、その後、NBCの創設にも参画した。CBSを買収した1995年時点で、地方テレビ局5局を持っていた。1994年売上高(88億4800万ドル)の約10%を放送事業で占めた。

CBSを傘下に収めたWHの売上高は約125億ドル。放送事業は36%を占め、伝統の重電事業をしのぐ最大部門となった。営業利益の放送事業依存度は約6割に達する見通し。財務面から見れば、すでにWHは紛れもない放送会社だ。

GEはコングロマリットに

これに対しウエスチングハウス(WH)のライバルだったGE。ここ10年で電機メーカーからハイテクコングロマリット(複合企業)へと完全に脱皮した。経営力ではWHに大きく格差を付けた。

NBCは全12事業部門の1つで、売上構成比はわずか5%強に過ぎない。GEは「NBC売却は考えていない」と繰り返すが、いい買い手が現れれば売却に応じるとの見方が一般的だった。

NBC買収の候補企業

NBCのR・ライト社長のもとには買収打診が相次いだ。映画大手MCAを傘下に収めたカナダの飲料大手シーグラムや、米娯楽・映画大手バイアコムが売却先候補に挙がっていた。

GEには、業界でシェア1位あるいは2位の事業しか原則として継続しないとの基本方針があった。3大ネットのゴールデンタイム視聴率はABC、NBC、CBSの順だった。